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1寸って何センチ?石屋と職人が使う「尺・寸・分・才」の不思議。見積もりに隠された単位のひみつ

2026.08.27

「お墓の見積書を見たら、『尺』とか『才』とか書いてあって、さっぱり分からない……」

普段の暮らしで私たちが使う長さの単位といえば「メートル」や「センチメートル」が当たり前です。

しかし、お墓づくりや建築、和裁といった伝統的な職人の世界では、今でも日本古来の「尺貫法(しゃっかんほう)」という単位が当たり前のように使われています。

お墓の寸法や部材の厚み、敷地の広さを測るとき、職人たちは「尺(しゃく)」「寸(すん)」「分(ぶ)」といった単位で会話をし、墓石の体積を計算するときには「才(さい)」という独特の単位を使います。

今回は、15年間石材店で営業や施工監督を務め、現在は行政書士としてお墓のサポートをしている私の目線から、知っていると面白い「石屋が使う単位」のひみつと、それが墓じまいの見積もりにどう関係しているのかを分かりやすく解説します。

1. 暮らしの中に残る身近な長さ:「尺・寸・分」

職人が使う「尺貫法」ですが、実は私たちの身近なことわざや慣用句の中にも、たくさんの単位が生き続けています。

  • 「一寸の虫にも五分の魂」
  • 「一寸先は闇」
  • 「寸暇(すんか)を惜しんで」

この「寸」や「分」は、どれくらいの長さか想像できますでしょうか?

メートル法に換算すると、およそ以下のようになります。

  • 1尺(しゃく) ≒ 約30.3cm(303mm)
  • 1寸(すん) ≒ 約3.03cm(30.3mm)※1尺の10分の1
  • 1分(ぶ) ≒ 約3mm(3.03mm)※1寸の10分の1

お墓の世界では、例えば墓石の幅や奥行き、敷地の広さを測るときに「8寸角の石塔」や「敷地が巾4尺・奥行き6尺」という言い方をします。

また、石材の厚みをミリ単位で細かく調整するときにも、「あと2分(約6ミリ)削って」といった会話が日常的に飛び交っています。

最初は馴染みがなく感じるかもしれませんが、「1尺=約30cm」「1寸=約3cm」とおおよそで覚えると、職人たちの会話や図面が一気に身近に感じられるようになります。

2. 重さじゃない!石の「体積・ボリューム」を表す「才(さい)」

もうひとつ、一般の方になじみがなく、見積書でよく首をかしげられるのが「才(さい)」という単位です。

多くの方が「才=重さ(kgやt)」や「才=年齢」と勘違いされがちですが、実は「石の体積(容積)」を表す単位です。

  • 1才(さい)= 1尺 × 1尺 × 1尺(約30.3cm × 約30.3cm × 約30.3cm の立方体)

立方メートル()に換算すると、1才は約0.0278  に相当します。

なぜ石屋は重さではなく「才数(さいすう=体積)」で会話をするのでしょうか。

それは、石の種類によって密度(比重)が異なるためです。同じ大きさの石でも、黒御影石と白御影石では重さが微妙に変わります。

そのため、加工や輸送、工場での取引の基準として、「どれくらいの容積の石を使うか」という「才数」が一番正確で扱いやすい指針となるのです。

ちなみに、1才の御影石の重さは、およそ75kg〜80kgほどになります。

大人1人分以上の重さが、たった30cm四方の石の中に詰まっていると考えると、石という素材のズッシリとした密度がよく分かります。

3. 墓じまいの見積もりの基準は「墓地の面積」と「墓石の才数」

この「才数」という単位は、新しいお墓を建てるときだけでなく、実は「墓じまい(墓石解体撤去工事)」の見積もりにおいても非常に重要な役割を果たしています。

以前のコラムでもお話しした通り、墓じまいの工事費用は単に「何平方メートルのお墓か」という敷地面積だけでは決まりません。

解体撤去工事の費用の大きな割合を占めるのは、解体した石材を運搬し、専門の処分場へ持ち込んで破砕処理する「産廃処理費(処分代)」だからです。

ここで工事のボリューム(見積もり)を算出する指針となるのが、「墓地の面積(作業のしやすさ・人件費)」×「墓石の総才数(石の処分代)」です。

  • 敷地が広くても、背の低いシンプルな石塔であれば「才数(石の量)」が少ないため、処分代は抑えられます。
  • 逆に敷地は狭くても、外柵(囲い)が分厚く背の高い立派な加工がされていれば、「才数(石の量)」が多くなるため処分代が上がります。

石屋の職人は、現地調査に行った際にお墓の寸法を測り、「このお墓は全体で約80才あるな」「外柵も含めると150才オーバーだな」と才数を瞬時に計算し、正確な解体費用や必要なトラックの台数、作業人数を弾き出しているのです。

最後に:専門用語や単位の「からくり」も分かりやすく解説します

「見積書に書いてある単位や用語が難しくて、適正価格なのか判断できない」

「石材店から出された見積もりの『才数』や『工事費』の内訳を詳しくチェックしてほしい」

墓じまいや改葬(お引越し)を進める中で、不慣れな単位や専門用語で書かれた見積書に戸惑ってしまうのはごく当たり前のことです。

私は、石材店での15年間の経験を通じ、現場で実際に「尺・寸」を用いて採寸し、「才数」を計算して数々の見積書や図面を作成してきました。

どの部分にどれだけの石が使われ、どんな作業が必要なのか、見積書を見れば一目で把握できる「現場実務の目」を持っています。

そして現在は行政書士として、現場知識をベースに、お客様の代わりに石材店の見積書を精査し、不当な高値や不透明な追加料金がないかを中立な立場から厳しくチェックしています。

お墓の準備や墓じまいで疑問や不安に思うことがあれば、いつでも私たちにご相談ください。

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