倒木で閉ざされた参道。自然災害の時代に考える、これからの「お墓の守り方」
「大雨の後、実家のお墓がどうなっているか心配だけど、遠くてすぐに見に行けない」 「山の中にある古いお墓、地震で傾いたりしていないかしら」
近年、大型化する台風や記録的な大雨、そして突然の地震など、自然災害のニュースを目にするたびに、遠方にある大切なお墓の身を案じる方が増えています。
先日、あるお客様からのご依頼を受け、現状を確認するためにお墓へ向かっていた際、私自身も現代のお墓が直面しているリアルなリスクを肌で感じる出来事がありました。
1. 目の前を塞いだ大木と、郊外特有の厳しい現実
そのお墓は、市街地から少し離れた山沿いの静かな地域にありました。
ところが、目的地まであと少しというところで、お墓へと続く細い参道の真ん中に立派な大木がどさりと横倒しになり、道を完全に塞いでいたのです。
車はもちろん、人が歩いて通る隙間すらありません。
すぐにでも撤去してお墓を確認したかったのですが、そこは郊外の山道。
普段から人通りや車通りが極めて少ない場所でした。
行政や地域の管理者に連絡を入れたものの、「生活道路の復旧が最優先となるため、こうした人通りの少ない参道の倒木撤去には、かなり時間がかかってしまう」というお返事でした。
誰も悪くないからこそ、地方の共同墓地や野墓地が抱える「災害時の復旧の遅れ」という厳しい現実を思い知らされました。
2. 遠方のお墓を襲う、様々な自然災害のリスク
今回は「道路の分断」でしたが、お墓をめぐる自然災害のリスクはそれだけではありません。
- 地震での激しい揺れによる墓石の傾きや倒壊
- 大雨や洪水による地盤沈下や土砂崩れ
- 強風による周辺の樹木の倒壊や墓石の破損
もしお墓が自宅から遠い場所にある場合、こうした異変が起きてもすぐに駆けつけることはできません。
気づかないうちに墓石が傾いて隣のお墓にご迷惑をかけてしまっていたり、参道が崩れて何ヶ月もお参りができない状態が続いたりすることもあります。
こうした不安は、お墓を守る立場の方にとって、非常に大きな精神的負担になっているはずです。

3. 「場所や形を変える」ことも、立派な先祖供養
災害が頻発化している今の時代、「お墓を守る」ということの意味を少し柔軟に捉え直しても良いのではないかと考えています。
ご先祖様を大切に想い、お墓を維持することは本当に素晴らしい文化です。
しかし、それは必ずしも「何があっても今の場所、今の形に縛られ続けること」だけが正解ではありません。
災害のリスクが高く、自分たちの世代でお迎えに行くのが難しくなっているのであれば、住まいの近くの安心できる場所へ移す(改葬)、あるいは次世代が管理しやすい形へと見直す(樹木葬や納骨堂など)。
これらは決して後ろ向きなことではなく、ご先祖様を災害から守り、その想いを次の世代へと確実に繋げていくための、極めて前向きで優しい決断です。
最後に:現場のリスクを知るからこそ、最適なご提案を
私は石材店での15年間、営業や施工監督として、災害で崩れてしまったお墓の修復や、山奥からの大変な解体工事を何度も経験してきました。
だからこそ、お墓が荒れてしまう前の「先手の一手」がいかに大切かを痛感しています。
現在は行政書士として、その現場経験に法の知識を加え、お客様の「お墓のお引越し(改葬)」や「墓じまい」の複雑な手続きをトータルでサポートしています。
~ 遠くの「心配」より近くの「再会」 ~