墓じまい改葬専門
行政書士事務所

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「東京の火葬場が資本取引の対象に?」墓埋法改正要望から考える、これからの火葬と供養のあり方

2026.09.09

日頃、行政書士として墓じまいや改葬手続きの現場に立つ中で、ご先祖様のお骨をお納めするお墓のことはもちろん、そこに至る「最後のお見送り」を担う火葬場の動向にも深く関心を持っています。

そうした中、特別区長会と東京都が国に対して「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」の改正を求める要望を提出しました。

東京都が火葬場に関する検討会を設置するなど、いま火葬場を巡る環境が大きく揺れ動いています。

背景にあるのは、東京23区における火葬場の極めて特殊な構造と、そこに潜む法制度上の課題です。

今回は、石材店での15年間の現場経験と行政書士としての法務の目線から、このニュースの背景とこれからの火葬・供養のあり方について解説します。

1. 都内23区の火葬場は「9か所中7か所が民営」という異例の寡占状態

一般的に、火葬場は地方自治体(市町村等)が運営する「公営」が原則です。

厚生労働省(当時の厚生省)の通知においても、「火葬場の経営主体は原則として地方公共団体であり、いやしくも営利事業類似の経営を行うことのないよう」と厳しく規定されています。

ところが、首都・東京23区の現実は大きく異なります。

23区内にある全9か所の火葬場のうち、なんと7か所が民間企業によって運営されています(東京博善が6か所、戸田葬祭場が1か所)。

年間約10.7万件にのぼる23区の火葬件数のうち、公営での火葬はわずか1.7万件に過ぎず、全体の約7割(約7.4万件)を民間1社(東京博善)が担っているという、極めて高い寡占状態にあります。

明治・大正期からの歴史的経緯により、特別に民間への経営許可が認められてきた結果、全国的にも極めて異例の「民営依存」が成り立っているのです。

2. なぜ今「墓埋法改正」なのか?浮き彫りになった法制度の課題

では、なぜ今、東京都や特別区が国に法改正を要望する事態になっているのでしょうか。

最大の要因は、民間火葬場が「ビジネス(資本取引)の対象」となり、利益追求の手段とされるリスクが顕在化したことです。

近年、民間火葬場を傘下に持つ親会社の株式売却報道などが相次ぎ、外資系ファンド等へ経営権が移る可能性などが浮き彫りとなりました。

住民にとって絶対に必要な公共インフラであるにもかかわらず、現行の墓埋法には大きな落とし穴があります。

  • 経営権が変わっても行政が介入できない:株式の売買などで実質的な経営者が代わっても、法律上は「経営許可の取り直し」にならないため、行政が事前に審査や拒否をすることができません。
  • 料金改定や受け入れ方針への関与が難しい:事業者の判断で料金の値上げやサービスの変更が行われても、監督官庁が事前に関与・指導できる法的仕組みが不足しています。

このように、公衆衛生と公共の福祉を担う火葬場が、行政のチェックが及ばないまま利益追求の対象になりかねない現状に対し、東京都らは「経営権変更時の事前許可・承認制」や「重要経営方針変更時の事前協議」などを墓埋法に盛り込むよう求めているのです。

3. 供養が多様化する時代だからこそ、守るべき「公共性と尊厳」

現代社会では、お墓のあり方や供養の価値観が急速に変化しています。

墓じまいが増加し、樹木葬や散骨、家族葬や直葬(火葬のみのお見送り)を選ぶ方が増えるなど、供養の形はどんどん多様化・簡素化しています。

時代とともに火葬場の運用やサービスが変化していくこと自体は、避けられない流れかもしれません。

技術の進化によって利便性が向上したり、多種多様な見送りのニーズに応えたりすることは、利用者にとってもメリットがあります。

しかし、どれほど時代が変わり、供養のスタイルが多様化しようとも、火葬という行為が持つ本質——「亡くなった方の尊厳を守ること」「ご遺族の宗教的感情に配慮すること」「公衆衛生と公共の福祉を維持すること」——は、決して揺らいではならない絶対的な土台です。

火葬場は単なる「施設」や「商品」ではありません。誰しもが人生の最後に必ず利用する、社会の根幹を支える大切な公共インフラなのです。

最後に:安心できる終活の基盤を、これからも注視していきます

お墓を建てる、お墓を引っ越す、あるいは墓じまいをして永代供養にする。

どのような終活の道を選んだとしても、その前提には「最期の火葬から納骨までが、適正かつ穏やかに執り行われる」という社会的な安心感が欠かせません。

私は、15年間の石材店経験で培った「現場のリアルな目」と、行政書士としての「法務の知見」を活かし、単に書類を作成するだけでなく、こうした業界全体の制度改革や環境の変化にも常に強い関心を持って注視しています。

火葬場を巡る議論が今後どのように進み、市民の安心と尊厳がどのように守られていくのか。

社会の動きをしっかり見極めながら、これからも皆様が安心して「人生のしまい方」を選択できるよう、誠実なサポートを続けてまいります。

~ 遠くの「心配」より近くの「再会」 ~