「寿陵」の知恵に学ぶ。墓じまいという引き算を、未来への足し算に変える方法
終活という言葉が定着した昨今、お墓にまつわる2つの言葉が注目されています。
一つは、生前にお墓を建てる「寿陵(じゅりょう)」。
もう一つは、今あるお墓を整理する「墓じまい」です。
一見すると、新しくつくることと、無くすことという真逆の行為に思えるかもしれません。
しかし、石材店で15年お墓を見守り、現在は墓じまい専門家として多くの相談をお受けしている私は、この2つには深い共通点があると感じています。
今回は、墓じまいが持つ「ネガティブなイメージ」をガラリと変える新しい視点をお話しします。
1. ポジティブな「寿陵」と、ネガティブな「墓じまい」
一般的に、寿陵はとてもプラスのイメージ、ポジティブなものとして捉えられています。
古くから生前にお墓を建てることは「長寿」や「子孫繁栄」をもたらすおめでたい行為とされ、仏教的にも功徳(くどく)が高いと言われているからです。
「自分の納得のいく家を建てる」ようなワクワク感もあります。
一方で、墓じまいはどうしてもマイナスのイメージ、ネガティブに捉えられがちです。
「ご先祖様に申し訳ない」「お墓を壊してしまうなんてバチが当たるのではないか」「我が家の歴史が終わってしまう」という、罪悪感や寂しさがつきまとうからです。
しかし、本当にそうでしょうか。
2. 元気なときに、動けるときに、整理する価値
寿陵の一番のメリットは、本人が元気なときに、自分の足で動けるときに、自分の意思で未来の安心を用意できる点にあります。
実は、この「元気なうちに自分で決める」という考えは、墓じまいにこそ必要なものです。
私が現場監督時代に見てきた最も切ない光景は、名義人が亡くなり、残されたご遺族が「お墓の場所も、中のお骨の数も、これからの管理のことも何も分からない」と、途方に暮れながら行う墓じまいでした。
自分が健康で、判断力もしっかりしているうちに、次世代の負担を減らすために動く。
それは、決して後ろ向きな「終わり」ではありません。

3. マイナスのイメージを「寿陵」の視点でプラスに変える
墓じまいをネガティブに感じてしまうなら、その意味を「寿陵」と同じ、ポジティブな未来への準備に書き換えてみませんか。
今あるお墓を壊して更地にする(引き算)と考えるのではなく、「自分と家族の未来のために、一番心地よく手を合わせられる新しい形にする(足し算)」と捉え直すのです。
実際、生前に墓じまいをされて、アクセスの良い納骨堂や樹木葬へお引越し(改葬)をされたお客様は、皆様一様にパッと明るい笑顔になられます。
「自分が元気なうちに綺麗に整理できた」という達成感と、「これで子供たちに迷惑をかけずに済む」という安心感。
それはまさに、寿陵でお墓を建てたときと同じ、極めて前向きでポジティブなエネルギーに満ちています。
最後に:あなたの前向きな一歩を支えるために
墓じまいは、家族の歴史を消し去ることではありません。むしろ、次世代へとその想いを正しく繋ぐための、優しさに溢れた「未来への贈り物」です。
私は石材店での15年間、お墓を建てる喜び(寿陵)も、お墓を整理する切なさ(墓じまい)も、すべて現場で肌に触れて知ってきました。
そして今は、行政書士としてそのお引越しを法的に守る代理人になれます。
「元気なうちに、うちのお墓もすっきり整えておきたいな」 そう思われたら、それが最高のタイミングです。
~ 遠くの「心配」より近くの「再会」 ~