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【お墓の跡継ぎ】長男とは限らない?「祭祀承継者」の役割と、無理のないこれからの守り方

2026.07.25

親が亡くなったとき、預貯金や不動産の「相続」については詳しく調べても、「お墓や仏壇は誰が引き継ぐべきか」までは意外と見落とされがちです。

「やっぱり長男が継ぐべきなの?」と思われている方も多いかもしれません。

実は、法律の世界では、お金や土地を引き継ぐ「相続人」と、お墓や仏壇を引き継ぐ人は明確に区別されています。

このお墓や仏壇の跡継ぎのことを、法律用語で「祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」と呼びます。

今回は、15年間の石材店経験を経て行政書士となった私の視点から、知っておきたい祭祀承継者のルールと、家族みんなで優しくお墓を守っていくためのヒントをお話しします。

1. 「長男だから」は昔の話。どうやって決まる?

祭祀承継者が引き継ぐのは、お墓や仏壇、位牌、神棚といった、ご先祖様を祀るための「祭祀財産(さいしざいさん)」です。

「当然、長男が引き継ぐものでしょう?」と思われがちですが、現代の法律(民法)では、性別や出生の順位に関する決まりは一切ありません。

では、どのように決まるかというと、一般的には以下の方法で決まります。

  • 故人の指定(遺言や口頭での約束)
  • 地域の慣習
  • 親族間の話し合い(まとまらない場合は家庭裁判所の指定)

つまり、故人が「長女にお墓を任せたい」と遺言に書いていれば娘が承継者になりますし、親族間で合意ができれば、地元の親戚や最もお参りに行きやすい人が引き継いでも全く問題ありません。

出典:e-Gov法令検索『民法』第897条

2. 引き継いだ人の責任と、以前お話しした「税金」のメリット

祭祀承継者に選ばれた人は、そのお墓や仏壇を引き継ぎ、日々の管理や法要の主宰をしていく役割を担います。

また、将来お墓を閉じる(墓じまいする)かどうかの最終的な決定権も、この承継者にあります。

ただし、いくら権限があるからといって、独断で処分してしまうと親族間で大きなトラブルに発展するため、事前の話し合いは絶対に欠かせません。

ここで、以前のコラムでも少し触れましたが、大きなメリットがあります。

これらのお墓や仏壇は、いわゆる通常の「相続財産」には含まれません。

そのため、基本的には相続税がかからない(非課税)のです。

どれだけ立派なお墓や仏壇であっても、それに対して税金の心配をする必要はありません。

3. 慌てて壊さなくていい。「柔軟に分担する」という選択肢

「相続税がかからない」ということは、親が亡くなったからといって、慌てて無理に処分や墓じまいを急ぐ必要はない、ということでもあります。

現代は家族の形もライフスタイルも多様化しています。

一つの形に縛られず、例えば「お墓は地元に残る親戚が引き継いで管理し、仏壇や位牌は遠方に住む兄弟が引き継いで自宅で手を合わせる」といったように、役割を柔軟に分けてご先祖様を守っていくことも可能です。

大切なのは、「誰か1人がすべてを背負い込む」ことではなく、残された家族みんなが納得し、心地よくご先祖様を想い続けられる形を選ぶことです。

お墓をどうするかという物理的な問題の前に、まずは家族のつながりを大切にしながら、これからの形を話し合ってみてください。

最後に:法の知識と、家族に寄り添う現場の目で

祭祀承継者を誰にするか、お墓をどう維持していくかという問題は、法律の条文だけでは解決できない「家族の感情」が深く絡み合います。

私は石材店時代の15年間、お墓の引き継ぎがうまくいかずにギクシャクしてしまったご家族や、逆にみんなで協力して温かい選択をされたご家族をたくさん見てきました。

だからこそ、現在は行政書士として、単に書類を作るだけでなく、親族間の話し合いが円滑に進むためのアドバイスや、将来のトラブルを防ぐための生前対策(遺言書での指定など)に力を入れています。

~ 遠くの「心配」より近くの「再会」 ~